在日韓国人(登録上「朝鮮」籍となっている方を含む)の相続に特化した大阪の司法書士・行政書士事務所
悠里司法書士・行政書士事務所 代表 前川です。
先日、在日韓国人の方の相続登記についての相談がありました。
別の司法書士さんに依頼して、登記申請したところ、補正を言われて追加書類を出したけど、まだまだ書類が足りないということで、依頼している司法書士さんが、もう手に負えないので、ということで当事務所にご相談いただくことになったということでした。
しかし、その司法書士さんがやった仕事内容を確認すると、多少のことでは、動揺しない私でも驚きを隠せませんでした。
まず、前提として、被相続人の方は韓国籍の方。
相続人は、はっきりしないところがありますが、子2人と配偶者(配偶者はもしかしたら籍が入っていないかもということ。少し複雑な事情がおありのようです)
そのうち子1人はすでに亡くなっており、こどもが2人(被相続人から見ると孫)、配偶者とは離婚。
ご相談者は、相続人である子の下の方。
亡くなった兄の子どもとは、面識はないが連絡は取れるかもしれないということでした。
で、なんで今頃こんな話? 登記申請までしたんじゃないの?
これって最初に確認して、協力してもうべき相続人の連絡先が分かるかどうか、スムーズに進められるかどうかなど、あらゆる可能性を一回目の相談で情報を聞き取ったうえで、確認しなければならないはずなのに、前に依頼した司法書士さんは、単独相続人として登記申請までしていた。
どうしてこうなったのか?
と話しを聞いていくと、どうも間で取り持ってくれていた中間の人が相続人はご相談者だけだと思い込み、司法書士に伝えていた様子。
そこで驚くのは、中間の人は法律の専門家でもなんでもない素人さんなのに、直接依頼者となる方から全く情報を得ずに、登記申請までしてしまったところ。
さらにわたしがもっと驚いたのが、いくら韓国の相続実務を知らないからといっても、被相続人の基本関係と家族関係証明書(日本の書類でいうと現在戸籍の一部に当たる書類)しかつけずに登記申請しているところ。
日本人の相続登記もしたことがないのでは?と思ってしまいます。
普通に考えて、被相続人に関しては、相続人が誰かを証明する書類=他に相続人がいないこと を証明する書類がすべて必要で、韓国にも戸籍制度が2007年まではあったわけで、おおまかには日本人の相続と同じと考えてよい。
よって、被相続人の戸籍にあたるものは、当然、出生から最後までつけなければいけない。
そんな状態で、しかも上申書も、外国人登録原票も全くつけずに登記申請が出せるということが、本当に難関の司法書士試験を合格した人なのか?と疑問で仕方がないです。
というより、信頼がすべてと言ってもいい、この司法書士という仕事で、ここまで手の抜いた仕事をできるというところに、空いた口がふさがりません。
相続人が誰かという情報は、まずはご依頼者から詳しく得ます。誰かが間に入っていたとしても、間の方が法律専門職でない方の場合は、必ず直接の情報をもらいますし、専門家であっても念のための確認をするのが普通です。
それをしなければ何も始まらない。
なぜなら、その中で行方不明の人がいたり、音信不通の人がいればその人を探したり協力を求めたりというところからスタートしなければならず、登記申請まで進めるかどうかは、不確定なのです。
そんな状態で登記申請業務自体を受任しても仕方ありません。
その時点でできることは、段階的に今後取りうる手段を助言していくこと。
もちろん登記申請に進めない可能性も十分にあること、まずは相続人の協力が得られるように動くことができるか否か、そういった情報が確認できないままに、手続きに着手するなんて、行き当たりばったりすぎや~しませんか?って思います。
最初に全部見えるのがわれわれ専門家です。
法律専門家に相談したり、依頼するメリットでズバリそこではないですか?
あらゆる自分が知らない選択肢や可能性を、なるべく無駄が生じない段階で知ること。
取りうる行動をなるべく早い段階でとるために、専門家にわざわざ相談しているのです。
今回ばかりは、同じ司法書士でそこまでひどい仕事をしている人がいてるとしって、非常に落胆しており、ショックです。
ほとんどの司法書士は、ある程度のレベル以上の人です。
うちの事務所は、普段のお仕事で、司法書士さんからの依頼が個人の方からのお仕事の数と変わらないぐらい頂いていて、司法書士さんをご依頼者とする仕事の数がかなり多い特色がある事務所です。
上記のように不慣れな司法書士さんでもある程度ご自身で勉強されてから、うちに依頼される方が大多数です。
また、自分で手に負えないと思ったら早い段階で、うちのような司法書士さんをサポートできるような、その分野での専門家に別途依頼したりする選択肢をとることも可能です。
あ~最初からうちに相談していただけていたら、こんなに苦労されずに済んだのに。と、心から思った日でした。
司法書士 相続|相続登記.net 大阪 代表 司法書士・行政書士まえかわいくこ