「認知症の祖父(母の父)の家・土地を生きているうちに自分名義にしたいです。あるいは、相続を待つべきですか?」
帰化のご依頼に来られた方より、不動産の名義変更についての上記のようなご相談をいただきました。
まず、今回は結論から言うと、生きているうちに、贈与や売買等でご本人名義にすることはできません。
認知症の度合いをお聞きしてみると、自分が孫だということも認識できないということですので。
また、その家を売らなければ祖父が生活できないなど、特別な事情もありません。
遺言書も上記のような状態では作成できない状態と思われますので、上記のような状態まで認知症が進んでしまった状態では、厳しいです。
認知症がまだ軽いうちに、きちんと自分がする法律行為を理解できる程度であれば、取りうる手段はありました。
相続について考えますと、
母は健在のため、このまま普通の順番で行くと、ご自身は相続人にはなりません。
ご自身の名義にするには、一旦、他の相続人に協力を得たうえで、母の名義にした後、何らかの原因で、ご本人名義にするということになります。
ただし、これも、簡単に贈与(無償であげる)などで自分名義にできるという考えは危険です。
登記名義を変更するためにかかる、「登録免許税」も、贈与にかかる可能性のある「贈与税」も、相続のときにかかる税金に比べるとはるかに高いのです。
※一部贈与税の特例など利用できる場合もあります。
今回は、相続人間で争いがあったり、相続書類が複雑になる(在日の方で戸籍等がきちんとされていなかったり、相続人が載っていなかったり、余計な人が載っていたりする場合)可能性も低いということで、そのままにされても通常は問題はないでしょう、とお伝えしました。
個々のケースによって、色々ですので、不動産の名義変更については、ご自身で判断されずに、登記の専門家、司法書士にご相談の上、名義変更されるほうが安全です。
司法書士 相続|相続登記.net 大阪 代表 司法書士・行政書士まえかわいくこ