「韓国戸籍(韓国除籍謄本、家族関係登録簿証明書等)に死亡の記載が載っていないと相続の手続ができないか?」
これに関しては、基本的には
「載っていなくても相続手続きができる」
というのが、わたし個人的な考えです。
もちろん、在日韓国人の方に限ります。
在日韓国人の方の場合、亡くなっても死亡の届けを韓国のほうに提出しておらず、韓国書類では生きているままになっている。
ということは、全く珍しいことではありません。
むしろ、きちんと韓国に届出をされて死亡の旨が記載されている方のほうが少ないと言えます。
そこに関しては韓国側からすれば、届出の義務もあるでしょうし、死亡の届出をされているに越したことはありません。
とはいえ、在日の方の中には、韓国語が全く分からない、領事館が苦手、自分では忙しくてできない、など様々な理由で、韓国の書類に死亡の旨の記載を載せることはハードルが高いのです。また、書類に反映されるまでも数か月を要し、すぐに相続手続きを進めたい場合には支障になります。
弊所でも代理で死亡の届出をすることもでき、専門家に依頼すればほぼすることはないとはいえ、それはそれで費用もかかる話ですので、やはりそのままで相続手続きが進められるなら進めたいというのが正直なところだと思います。
ただし、相続手続きと言っても非常にたくさんの手続が存在します。
預貯金、証券、保険、自動車、税金、不動産名義 etc・・・
例えば、不動産の相続による所有権移転の登記、いわゆる相続登記を例にとりますと、韓国書類に死亡の旨が載っていなくても、他の死亡を証明する書類を添付して登記申請することが可能です。
この手続きは通常は司法書士が法務局に登記を申請することになりますが、そこには登記官と言って、国側の登記のプロがきちんと法律等に則って判断するため、こちらとしても非常にやりやすいと言えます。
それに対して、預貯金や証券、保険など大多数の相続手続きは相手は一般の会社です。
それも、大抵の場合は、在日の方の相続に当たったことのない担当者など分からない人が、分からないお客さんに分からないままに必要書類などを案内するので、在日の方が上記のように韓国書類に死亡の旨が記載されていないことが多い実情や、そのために別の死亡の証明によってほとんどの相続手続きが進められることなど全く知らないまま、
「韓国戸籍に死亡の旨が載っているものが絶対に必要です。」
と案内され、しなければ前に進まないということで、韓国への死亡の届出から進めるという回り道をするケースが後を絶ちません。
もちろん、最終的には相続手続きをする個々の会社がその書類で手続きを進めるかどうかを決定するわけですから、韓国の戸籍に死亡の旨が載っていないと手続きしないと言われればそれまでなのですが、まずは普通はどれぐらいの書類で相続手続きが進められるかという情報を知ってもらうことにより、提出書類が簡略化できる可能性はあります。
よって、場合によっては、先方との間に入って事情を説明したりということをお受けすることもあります。
実際には、そんなこと(死亡の旨が本国の書類に載っていないから手続きできないなど)を言い出したら、亡くなった方について婚姻や子の出生さえ韓国の書類に載っていないことなどもあり、日本人の相続書類のようにほぼ完ぺきに相続関係を証明する書類が出てくるケースはほとんどないと言っていいほどです。
そういった意味でも、在日の方の相続で困っている方は本当にたくさんいらっしゃると言えます。
上記のような状況でお困りの際はお気軽にご相談いただけましたらと思います。
在日の方の相続についてのご依頼・ご相談はこちら(悠里司法書士・行政書士事務所 相続登記サイトお問い合わせ)から