過去に別の手続きで用意した韓国書類とその翻訳文がある場合、それを別の人の相続手続きに使えるか?
という質問を受けることがあります。
結論としては、
「使える場合と使えない場合がある」
ということになります。
使えるのはどういったケースかというと、もちろん、共通して必要である韓国書類というのはもちろんのこと、書類の内容に変更が生ずる可能性があるかどうかというところにかかってきます。
たとえば、韓国の書類で、
「除籍謄本」
というタイトルの書類があります。
この書類は、基本的に除籍されていて変更が生ずる可能性がない書類となりますので、昔取得したものでも新たに取得したものでも、内容は変わらず使うことが可能です。
逆にそれ以外の、
「〇〇証明書」 ※基本証明書、婚姻関係証明書、家族関係証明書等
については、変わる可能性のある書類ですので、基本的には取り直しが必要となる書類です。
※ここでは詳しい説明は省きますが、被相続人やさらに数次相続、代襲相続などが発生していればその相続の発生の時期により「〇〇証明書」でもそのまま使用できることはあります。ただし、専門家以外が判断するのは非常に困難です。
簡単に説明すると上記のようになりますが、誤解が生じないように補足説明しますと、翻訳文は上記の原本に関するものでないといけないという点もよく誤解がありますので、記載しておきます。
いくら変更のない上記の「除籍謄本」であっても、発行年月日や発行者、申請者が違った翻訳文しかなければ(=韓国書類原本と訳文とが相違する)、その訳文をつけて相続手続きを進めることはできません。
きちんと、手続きに添付する韓国書類の忠実な翻訳が必要ですので、たとえ内容が変わっていないように見えても訳文はそのままでは使用できません。
手続きごとに専門家が違い、例えば不動産の相続登記であれば司法書士が専門家であり、その他の専門家では知らないという状況もあります。
今日、実際にあったことですが、帰化の手続を依頼した行政書士に、内容は同じだから相続登記でもそのままの翻訳文で提出して大丈夫と聞いた、とご依頼者がおっしゃっていました。
わたしなら、そんな無責任なことは口が裂けても言えないな、専門家でも色々な人がいるなとまた色々考えさせられました。
ご依頼者のためにも、あやふやな情報を伝えるより、自分が答えられる範囲で返答し、核心部分については、必ず手続き直接の専門家に確認していただく必要があるという情報までを伝えることが本当の法律専門家のすべきことではないかと思っています。