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昔に押印してもらった遺産分割協議書を相続登記に使うときの問題点

/司法書士 相続手続き


相続登記をするときに添付する遺産分割協議書。

一般的には、司法書士に依頼していただいたあとに、司法書士が作成し、各相続人の方にご実印を頂いた遺産分割協議書で登記を進めるケースが多いと思います。

 

ただし、案件の中には、昔にご自身で作成した遺産分割協議書や、別のタイミングで司法書士などに作ってもらった遺産分割協議書で既に署名、捺印済のものを使用することもあります。

この場合は、捺印されている印影の印鑑証明書も基本的にはセットで必要です。

もし、捺印した人が既に亡くなっている場合は、印鑑証明書がなくても、亡くなった人の相続人から実印をご捺印いただき、印鑑証明書をご協力いただける状態なら何とかなるかと思います。

 

ただし、遺産分割協議書に捺印してもらったのが大昔であれば、それからまたいくつも相続が発生していて、捺印した後亡くなった人の相続人全員の協力も得られないことの方が多いでしょう。

 

話は元に戻りまして、過去に頂いた遺産分割協議書と印鑑証明書を使うときの問題点ですが、いわゆる「上申書」が必要となるケースです。

代表的な上申書が必要な場合としては、登記簿上の所有権登記名義人=被相続人の登記簿上の住所から最後の住所の沿革が付かない場合です。

 

ここで簡単に説明いたしますと、相続登記をするときには、登記簿上の登記名義人と、今回相続関係を証明している被相続人が同一人物であることを証するために、

登記簿上の住所~最後の住所(普通は、死亡時の住所) まで間断なく証明ができなければいけません。

 

これが意外と簡単ではないんです。

 

住民票も、戸籍附票も、除票になってから5年間しか保存期間がなく、保存期間満了で発行されないことが多いためです。

 

特に、大昔にもらった遺産分割協議書と印鑑証明書を使う場合には、最後の住所を証する書面さえ出てこないことのほうが多いです。

 

普通、このような場合には、相続人全員の上申書(登記簿上の名義人と今回の相続人を証明している被相続人が同一人物であることを上申する内容)に、相続人全員が実印を捺印して、印鑑証明書を添付します。※この部分については、他にも添付が必要な書類があります。

ただし、遺産分割協議書に大昔に押してもらった人にもう一度上申書にハンコをもらう、あるいは亡くなっている場合は、その相続人全員に実印を押してもらうとなると、せっかく遺産分割協議書と印鑑証明書があっても、あまり意味がなくなってくるということにもなりかねません。

先日、この点については、つけられる相続人だけの上申書で登記が通ったという記事を書かせていただきましたが、どのような状況か、他にどんな書類がつけられるかなど、ケースバイケースで進められるかどうか、個別の判断になってくる部分となると思います。

 

一点、確実に言えることは、もし、遺産分割協議書を作成して、登記ができる状態であるなら、一日も早く司法書士に相談して登記を済ませることが一番ということです。

 

こういった類の手続きは、あとにまわすと概してろくなことになりません。

 

遺産分割協議書をまだ作っていなくても同じです。みんなの同意が得られるなら、その瞬間に作成し、実印を押してもらい、印鑑証明書を貰い、即、相続手続きを終わらせる。

 

司法書士から見ると、相続手続きだけは、先に延ばすメリットはないと、毎回感じております。

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