大阪の悠里司法書士・行政書士事務所
代表の司法書士の前川です。
当事務所では、在日韓国人の相続登記や相続手続きや帰化に特化しておりますので、日々、在日の韓国、朝鮮籍のかた、および相続人にあたる日本籍の方からご相談をお受けしております。
その中で、多いのが、
「相続人と思われる人の居場所が分からない。」
というものです。
ここで、前提としての情報をお伝えさせて頂きますと、
日本人の場合であれば、公的書類で、居場所をつきとめられる可能性がございます。
それは、
「戸籍の附票」
という書類です。
この書類は、戸籍(本籍地)と連動して、住所を証明する書類であるため、対象の方
ただし、この書類によって、確実に居場所をつきとめられるとは限りません。
「戸籍の附票によって、住民票上の住所は判明したが、そこに住んでない」
「職権で消除されていて、住所が判明しない」
など、書類で居場所が分からないこともありますが、一応は上記のとおり、判明する可能性はそれなりに高いです。
それに対して、在日韓国人の方は、日本に
「戸籍」がありませんので、上記のように、戸籍から住所を追う方法はありません。
また、韓国籍の方については、日本の「戸籍」に当たるものは
「韓国の家族家族関係登録簿証明書または除籍謄本」
となりますが、
在日の方の場合、婚姻や出生、死亡などを韓国に届け出していない方も多く、身分関係自体も戸籍に記載されていないことも多々あります。
また、その韓国の「家族家族関係登録簿証明書または除籍謄本」
と日本の住所をつなげる書類は存在しません。
結論として、公的書類から居場所を特定するのは非常に困難ということになります。
それでは、どうすればよいのか?
小さいヒントや、ひとづての情報をたどっていくしかありません。
昔住んでいた場所が分かれば、今後は住民票からだどることが可能となる可能性はあります。
※ただし、外国人の住民票制度が始まった平成24年7月9日より前の住民票は辿れませんし、住民票の保存期間の延長される前に廃棄期間にかかって、すでに消除されている場合もたどることはできません。
他にもヒントとなる書類はいくつか思いたるものがありますが、実際にその書類にどれぐらいのヒントや情報が載っているかは、取得しなければ分からなず、そもそも取得権限がないケースも多いので、
やはり鍵は、ひとづての情報です。
ご相談に来られるまでは、「簡単に調べられるのだろう」
と思われている方が、意外と多く、実際に調べるのが難しい、ひとづての情報が一番重要
であることを伝えると、
それまでは、全くヒントがないとおっしゃっていたにもかかわらず、親戚の方から連絡を取ってもらって、居場所が判明して連絡が取れ、協力してもらえることになった
なんてケースもいくつかありました。
上記のとおり、在日韓国人の方が関わる相続については、一筋縄ではいきませんので、今登記ができる状態の方は、今すぐされるべきである、のちにご本人、あるいは残される相続人が非常に困ることになる、と心からお伝えしたいです。
ただし、こういう仕事をしていて、苦労される方をたくさん見てきている自分だから、
自分ならきちんとしておこう
という考えになるものの、一般の方の場合は、自分が亡くなった後の事まで考えて行動できる方、あるいは、相続人として、今手続きをしたほうがいいけど、そこまでの緊急性を感じていなくて後回しにしてしまう
というのも理解できますので、ここは難しいところです。
相談に来られて、肩を落として帰って行かれる方の姿を見るのはつらいです。
今、できる方は、先延ばしにせず相続登記はすぐに、そして、複雑になりそうなときは、生きている間に、遺言書を残しておきましょう。
在日の方の相続登記、遺言のご相談は、問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。