代襲相続と数次相続
ここでは、特別受益者について解説したいと思います。代襲相続と数次相続ってちょっとややこしいけどどう違うのか解説します。
代襲相続とは
代襲相続とは、相続人である被相続人の子(養子も含む)または兄弟姉妹が、相続開始以前に死亡していたり、相続欠格に該当し、または廃除(兄弟姉妹以外)によって相続権を失っているときに、その相続人の子が代わりに相続人となることです。
具体的な例を見てみましょう。
・おじいちゃんが亡くなりました。
・おじいちゃんには、息子が2人(A・B)おり、おばあちゃん(妻)は既に亡くなっています。
・息子Aは結婚して妻Cと子D(おじいちゃんから見ると孫)がいます。息子Bは独り身です。
この場合、普通なら息子Aと息子Bが2分の1ずつ相続しますが、息子Aがおじちゃんより先に亡くなっている場合はどない考えたらいいんでしょう?
ここで、「代襲相続」登場!!!
息子Aの子Dが代襲相続しおじいちゃんの財産の2分の1を相続することになるんです。
よって息子Bが2分の1、おじいちゃんの孫Dが2分の1となります。
なんとなく代襲相続を分かってもらえましたでしょうか?
また、代襲相続すべき人も既に死んでいる場合は、被相続人の子については直系卑属(子・孫・ひ孫など)が※再代襲します。
兄弟姉妹については、兄弟姉妹の子までは代襲相続できますが、それ以下の直系卑属は代襲相続しません。(ただし、昭和55年12月31日以前は兄弟姉妹の孫以下も代襲相続する)
※再代襲とは代襲相続すべき人が既に死んでたらその子が更に代襲相続すること。
数次相続とは
数次相続とは、ある人に相続が発生し、その後その相続人も死亡して数次に相続が発生することを言います。
代襲相続との違いは、上の例で言えば、おじいちゃんと息子どっちが先死んでるか?というところなんですね~。
また、上の例を使って行きましょ。
・おじいちゃんが亡くなりました。
・おじいちゃんには、息子が2人(A・B)おり、おばあちゃん(妻)は既に亡くなっています。
・息子Aは結婚して妻Cと子D(おじいちゃんから見ると孫)がいます。息子Bは独り身です。
この場合、普通なら息子Aと息子Bが2分の1ずつ相続しますが、おじちゃんの死んだあと息子Aも死んでしまったらどうしたらいいんでしょう?
では、実際の相続登記手続きを見ていきましょう
数次相続と相続登記手続き
上の例の場合のおじいちゃんの全財産である不動産の相続登記はどうやっていくのか?
普通に考えればおじいちゃんが死んだときに第一の相続、息子Aが死んだときに第二の相続が発生しているので、
①おじいちゃん⇒息子A 2分の1 息子B 2分の1 の相続登記をする。
②息子Aの持分2分の1⇒息子Aの妻C 4分の1 息子Aの子D 4分の1 の相続登記をする。
と、なりますね。
この場合は、これしかないんですが、次の例の場合は違ってきます。
この例で息子B(独り身の方)が相続放棄して相続人にならない場合は、=最終的に息子Aの妻と子が2分の1ずつとなるはずですが、
①おじいちゃん⇒息子A と相続登記する。
②息子A⇒息子Aの妻D 2分の1 息子Aの子D 2分の1 と相続登記する。
となりますが、この場合はいきなり
①おじいちゃん⇒息子Aの妻C 2分の1 息子Aの子D 2分の1
という相続登記が可能です。
すなわち、「中間の相続が単独相続」の場合は、中間の相続登記を省略して最初に死んだ人から直接最後の相続人に所有権移転登記(相続登記)できるんです。
※「中間の相続が単独相続」とは、例えばここで言えば、第一の相続でおじいちゃんから直接受け継ぐべき人が1人の場合ってことです。
この、「中間が単独」というのは、元々相続人が1人の場合だけではなく、相続人が複数いても、上記のように相続放棄や、その他、遺産分割、特別受益者がもらうべき相続分がないような場合も含まれるんです。
これらを踏まえて、実務上の取り扱いをみてみましょ。
相続登記の実務上取扱い
相続登記のご依頼を頂くとき、上で説明してきたみたいに法定相続分どおりということは実務上まれです。
大抵、遺産分割協議により不動産ごと相続人ひとりずつに分けて相続登記します。
なので、上記の説明は教科書どおりですが、実際には次のようにすることがほとんどです
具体的例:
また、上のおじいちゃんに登場してもらって
この例で、
・息子Aはおじいちゃんが死んだ後、相続登記手続きする前に亡くなりました。
・息子Bが自分がおじいちゃんの唯一の財産である、家・土地を相続したい。
まず、息子Bがすることは、息子Aの相続人が誰かを見ていくことです。具体的には息子Aの生まれてから死ぬまでの戸籍をすべて集めます。(もちろん司法書士に相続登記頼めば全部してもらえますが・・・)
息子Bは、亡息子Aの相続人全員と遺産分割協議をします。今回は、息子Aの妻Cと子Dのみですので、B、C、Dがこの遺産分割協議によりおじいちゃんの家・土地をBがひとりで相続することを決めることになります。
息子Aの妻Cと子Dはおじいちゃんの家・土地について遺産分割するAの相続人としての地位を引き継いでいるので、CとDも遺産分割協議に参加することになるんです。
結果的には、相続登記は、
おじいちゃん⇒息子B の名義変更だけでOKです。
多少頭がこんがらがってきましたか?
まだ、余裕がある方向け
⇒ちなみに、このケースで遺産分割協議により息子Bが2分の1と息子Aの妻Cが2分の1を取得する場合は、、2件の相続登記が必要です。
①おじいちゃん⇒息子A 2分の1 息子B 2分の1
②息子A⇒息子Aの妻C 2分の1
ってな具合です。この場合は、息子Bについての登記原因(平成○年○月○日相続)と、息子Aの妻Cについての登記原因(平成△年△月△日A相続、平成○年○月○日相続)が違うので1件でするのは無理なんですね。
ここで書いてることは、少し複雑に感じるかもしれませんが、実際の相続登記手続きは司法書士がしますので、難しいことはありません。ご安心くださいね。