相続放棄
亡くなった人に負債が多い場合は、相続放棄も考えましょ。
相続放棄とは
相続放棄とは、自分のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することにより、プラスの財産、マイナス財産の一切を放棄することです。
相続放棄するとその相続については始めから相続人でなかったものとみなされます。よって代襲相続も発生しません。
期間内でも相続放棄できない?
相続放棄可能な期間内でも次のような事由にあてはまれば原則として単純承認(相続財産をすべて引き継ぐことを承認すること)したものとみなされ相続放棄できなくなり、または既に相続放棄をしていても単純承認したものとみなされますので気をつけてください。
①相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。⇒単純承認したものとみなされる
(ただし、保存行為および民法第602条に定める期間を越えない賃貸借をしたときはこの限りではありません。)
※また、これに当てはまるのは、相続人が自分のために相続が開始した事実を知りながらその相続財産を処分したか、または少なくとも被相続人が死亡した事実を確実に予想しながらあえてその財産を処分した場合です。
②相続人が、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、私的にこれを消費し、または悪意で(知っていながら)これを相続財産の目録中に記載しなかったとき。⇒既に相続放棄していても単純承認したものとみなされる。 (ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りではありません。)
未成年者の相続放棄
未成年者である相続人が相続放棄の申述をするには、その法定代理人(ほとんどの場合親権者)が代理します。
そこで問題になるのが、法定代理人が未成年者と一緒に相続人になる場合に、未成年者を代理して相続放棄できるか?(利益相反行為に該当してできないんちゃう?)ってところです。
具体的な例でいえば、お父ちゃんが亡くなって、お母ちゃんと未成年の子供が相続するとき、お母ちゃんは子供の相続放棄できるか?ってことですね。
これは、お母ちゃんが子供より先に相続放棄するか、子供と同時に相続放棄をする場合は、未成年の子供の相続放棄を代理してすることができます。
でも、お母ちゃんが相続放棄せんと子供だけする場合は、お母ちゃんは子供の相続放棄の手続きを代理することはできません。
この場合、子供のために特別代理人を選任してその人が子供の相続放棄の手続きをしてあげることになります。(特別代理人選任は子の住所地の家裁に請求します)
相続放棄したときの相続登記
相続人の中に相続放棄した人がいるときの相続登記の申請には、「相続放棄受理証明書」という書面が必要になります。
これは、家庭裁判所から届く「相続放棄受理通知書」とは別のものなので、別途申請して取得しないとあきません。
ちなみにこの相続放棄受理証明書は、相続登記申請後に返してもらうことができますので、司法書士には還付してもらうように頼んでくださいね。
よく、「兄は相続放棄して、私だけがこの家・土地相続しますねん。」
というご依頼者がいますが、話をよく聞いてみると、ここでいう「相続放棄」ではなく、話し合いでお兄さんがその財産を相続しない意思表示をしてるだけの場合がほとんどなんです。
この場合、家・土地の相続登記は、「相続放棄」ではなく、遺産分割協議による「遺産分割協議書」というものを作成して提出することになります。